第34章 意外な才能
その場にいた全員が声のする方を見るとゆら〜っとした様に佇む人物がいた
「相澤先生っ!!」
「新しいルームメイトに戸惑ってるのかと思って様子見に来てみたが…心配いらなかったな」
相澤はチラリと華を見るとゆっくりと近付いてきた
「な…何ですか?」
華はこの先生の一言で単身1人で入寮する羽目になったのだ
まだ何か言われるんじゃないかと咄嗟に身を強張らせた
「お前…どうして普通科に行った」
「…っえっ!?」
相澤の唐突な質問に華の肩がビクっと揺れた
「そんだけ身体能力高ければコッチでも良かっただろ」
珍しい 合理性を好む先生の口からの意外な言葉にその場にいた生徒はぽかーんとした
「あ…あの…でも私、個性がその…」
相澤の言葉にしどろもどろになる華の様子に出久は慌てて庇うように華の前に立った
「あの…華ちゃん、強くても条件反射で出るだけなんです!だから常に強いって訳じゃなくて…」
必死に庇う様子に何か触れられたくない何かがあるのかと相澤は感じた
久しぶりに個性云々彼女の一切スキがない動きに興味が湧いたがこれ以上は踏み込んではならないと思った
「そうか…たまにしか出ないんじゃ合理的じゃないな」
そう言うとフイっと興味を無くしたように相澤は視線を逸した
((((自分で振っといて!))))
その様子に生徒は各々思ったが華だけはほっと胸を撫でおろしていた
「オラ、お前達もダラダラここでくっちゃべってないで部屋片付けろ 時間は有限だ」
パンパンと手を叩きながら相澤は移動を促す
それを皮切りにゾロゾロと割り当てられた部屋へと向かう生徒へと混じって華も向かおうとすると
後ろから相澤の声が掛かった
「如月いきなりで戸惑うかもしれんが コイツラはいい意味で馬鹿だから まぁ気を抜け」
先生らしい言葉に華は少しはにかんだ様に「はい」と言って笑った
今日からここが新しい生活の場所