第27章 理由〜相澤消太〜
「そっかそっか〜華は消太に懐いてるのかぁ、昔から分かってたけど妬けるよね」
「はぁ?酔ってるんですか?仲良くして欲しいとか言って今度は妬けるとかどっちなんですか?」
無茶苦茶な屁理屈を言う秋彦に呆れたように消太は零す その言葉に秋彦はにへーっと笑いながら串でビシッと消太を指した
「どっちもなのだよ君、色んな感情で揺れ動くのが男親ってもんなんだよ」
上手いこと言ったというような顔をする秋彦に見つめられて思わず口元が緩んだ
「そんなもんですかね?」
「まぁ、どっちにしろ華には幸せになって欲しいとは思ってるよ。」
いきなり父親らしい・・・いや 父親なんだけどもポツリと零した言葉には彼女を本当に思ってるのだという感情が伝わってきた
「それは・・・俺もそう思いますよ」
秋彦の言葉に同意する様に頷くとふっと僅かに笑った
ずっと笑ってて欲しいなんて
隣にいて欲しいなんて
当たり前だった事がそうじゃなくなって気付いた想い
華には幸せでいて欲しい
だから今はまだこの感情は華にも知られてはいけない
「・・・そう思うか・・・・・それなら消太はこの話に納得してくれるよな?」
コトリと静かにグラスを置いた秋彦がゆっくりと消太を真剣な顔をして見つめた
「・・・・・それは」
秋彦から出た言葉に消太はそれしか返せなかった