第23章 後悔の感情〜相澤消太〜
バッと全員が入り口の方へと目を向けるとそこには何やらお怒りの消太が立っていた
「あ・・・・相澤先生」
出久がそう呟くとゆっくりとした足取りで教室内に入ってくる
「お前ら、昼休みを満喫するのはいいが次の時間は実技だと分かっててここにいるんだろうな」
そう、今日は午後から実技の時間だ。なので今の時間から更衣室でコスチュームなどに着替えないと間に合わない
「だ・・・だけどせっかくの手作り食いたくて・・・・あっ!先生も食べます?」
黄色の髪をした男の子がそういうとマフィンを指差して消太に勧めた
「俺はそういうのは食わん」
ピシャリと言われて黄色の髪の子はシュンと項垂れた
「それと如月、お前も余計なもの持ってくるな。お前の教室は向こうだろ、帰れ」
急に話しかけられてビクっとするも、一瞬瞳の奥が揺れたがふと視線をすぐに外した
「そうだね、ごめんね。準備しないといけない時間に、残りは持って帰っておやつに食べて」
ヘヘッと力なく笑うと「お邪魔しました」と頭を下げて小走りで出て行く
教室を出て行く時に消太の横を通ったが、一度も華は目を合わせようとはしなかった
華が出て行った後、僅かな間沈黙が流れたが、それを吹き飛ばすかのように委員長の飯田が「さぁっ!君達!迅速に着替えに行こうではないかっ!」と皆を誘導し始めたので消太は何か考えるように見つめていた
「なんだ」
ゾロゾロと生徒が出て行く中、1人じーっと大きな目で蛙吹梅雨だけが消太を見つめていた
「・・・・何でもないわ・・・」
そう呟くとにこっとして教室を出て行く様子を無言で見つめた
「大人気ないな・・・・・」
その声は本当に自然に口に出ていた