第1章 溺れた女
夜になり、みんなが寝静まった頃に私は外に出ていた。
夜風が冷たくて肌寒いと感じる。
私は、もっと恩を返したいと思い夜の見張りを手伝おうと考えた。夜の見張りは最も疲れるものだ、だからこそそれを手伝い見張り役の負担を減らすことで役に立ちたい。
見張り台を登った先に緑色が見えた。
ゾロだ。
「何の用だ。」
寝ていたハズなのに、私の気配に気づいたようでサッと起き上がり携えている剣に手をかける。
視線は鋭く厳しい。
全く私を信用していないことがわかる。
まぁ、出会ったばかりで信用されてもそれはそれで困る訳だが。
『あの、恩返しに見張りを手伝おうと思って・・・。』
「必要ねぇ。」
剣から手を放し、再び腕を組んでドカリと座り込んだ。
「信用出来ねぇやつに見張りは任せられねぇ。」
『でも・・・。』
「帰れ、目障りだ。」
今にも殺されそうな目を向けられ、私はビクリとしてコクリと頷きその場を去った。
まぁ、当たり前といえば当たり前だ。
まだ出会って1日も経っていないし、ゾロは誰よりも私に警戒心を持っているのだから。