第3章 友情のために (エニエス・ロビー編)
「おい、おいおいおい!ウソップ知らねぇか!?いなくなっちまった!!」
ルフィがそう私たち問いかける。
ウソップは仮面を付け、再びそげキングに変身したのだ。
なんで仮面つけただけで急にわからなくなるんだろ・・・。
アイデンティティの長い鼻だって見えてるのに、何でウソップを判断してるのだろう。
それから、彼らはメリー号から声がした!と言う。
私やフランキー、そしてココロばーさん達にもその声は聞こえていなくて、聞こえたと言ったのは一味の人たちだけだった。
「ん?前から船が来るぞ。」
その船とはガレーラカンパニーの船で、船大工達をたくさん乗せていた。
その時、ガタン!とメリーの前方が折れて傾く。
『うわわ!』
私は落ちそうになるが、間一髪で近くにいたゾロとフランキーが手を掴んでくれた。
もう限界を迎えているメリー。
市長のアイスバーグさんはルフィに「眠らせてやれ」と声をかける。
「俺は今奇跡を見ている・・・もう限界なんか越えてる船の奇跡を。長年船大工をやっているが・・・俺はこんな凄い海賊船を見たことがない。見事な生き様だった。」
そうだ、私も使えなくなってしまった船をたくさん見てきた。
ここまでの奇跡が起こせるのは、ひとえにルフィ達がこの船を大切にしてきたからだ。
時には航海出来なくなった船を、使えない船だと言う者もいた。
きっと、船員達の思いに船は呼応しているのだ。
「わかった。」
ルフィは小さく返事をした。
私たちは小舟に乗り込み、ルフィはメリーに火をつける。
【ごめんね、もっとみんなを遠くまで運んであげたかった】
声が、聞こえる。
麦わらの一味だけではなく、フランキーやガレーラカンパニーの人たちにもその声は聞こえていた。
それが紛れもなくメリーの声だと言うことは、言われずとも理解することが出来た。
【今まで大切にしてくれて、ありがとう。ぼくは本当に幸せだった】
私は少ししかメリーの船に乗ってはいなかった。
だけれど、心がジンとして私は涙が止まらない。
そうして麦わらの一味はメリー号とお別れをした。