第10章 海中の愛言葉(魚人島編)
ぱちりと目が覚める。
光が眩しくて景色がぼやけていて、次第によく見えるようになった。
『…え?なにこれ?』
空を飛んでいる。
正確にいうと空飛ぶ何かに乗っている。
下を見ると街が広がっていて、混乱が止まらない。
一体ここはどこなのか、魚人島に無事着いたのか。
そして、この状況はなに??
「お前、本当によく眠るよな。」
隣からするのは聞きなれた声。
そちらを向くと、ゾロの呆れた顔があった。
『私が寝てる間に何が…?』
「魚人島へ突っ込んだ時に海の層があって、能力者は全員気を失った。泳げるやつらで手分けして魚人島へ辿り着いたが、ルフィとチョッパー、ブルック、ウソップ、それからクソコックとははぐれちまった。ま、あいつらなら大丈夫だろ。ナミ、ロビン、フランキーはそれぞれ自分たちのやりたいことをやりに行った。つまり、俺はテメェの"おもり"だ。」
言い方に棘があるような気がしなくもないけれど、大方みんながいない理由はわかった。
『…じゃあ、空を飛んでいる状況は?』
「魚人島の国王が俺たちを宴に招待してくれるそうだ。何でもクラーケンに襲われてた人魚姫のペットのサメを助けたとか何とか…まあ何でも良いだろ、タダで酒がたらふく飲める。」
あぁ、何ともゾロらしいというか。
宴か、とっても楽しそう。
だけれど、私は魚人島に着いたら絶対にやらなければならないと決めていたことがある。
時間がかかるかもしれない、ただでさえ気を失っていたのだからすぐにでも行動に移さないと。
『ゾロ、ありがとう。きっと私のことを心配してくれてたんでしょ?』
「あ"?心配なんかしてねェ。」
そういうゾロはそっぽを向いてしまったが、恥ずかしそうに顔を赤くしているのを見ると何だか可愛いなぁと思ってしまう。
『宴はゾロ一人で向かってよ。私、魚人島で探したいものがあるんだ。』
「さっきまで気ィ失ってたのに、大丈夫なのかよ。」
『うん!もう完全回復!!!ってことで、運転手さーん!降りま〜す!』
私は、そう声をかけてピョンッと魚人島の街へ飛び降りる。
いざ、叔父さんの絵と翠藻探し!!!