第9章 再会(2年後編)
『わ〜、懐かしいなぁ。』
目の前に2年ぶりのシャボンディ諸島が見えた。
最後に見たときと特に変わった様子はない。
シャボンディ諸島に辿り着くまで、束の間の姉弟の時間を楽しんだ。こんなにも2人でいることが出来たのは何年ぶりだろう。
5年ぶりくらいだろうか。
その間たくさんのことを話した。
彼らとどんな旅をしたのか、アルテ島での出来事、集めた叔父さんの絵の紹介もした。
それから、リノスの話も聞いた。
海軍に入ってからどうだったか、押収した叔父さんの絵の殆どは偽物だったことなど。
久しぶりに一緒に絵を描いて、商船を狙う荒くれ者を撃退して、そんな日々を重ねて、そして別れの時間がやってきた。
『久しぶりにリノスと一緒にいられて楽しかったな。』
次会えるのはいつだろう、すぐかもしれないし、何年も先かもしれない。そして、その時こそ、私たちは敵対しなければならない。
弟と戦う未来なんて、想像したくもないけれど。
「僕も楽しかったよ、姉さん。」
リノスがニコリと笑って私の言葉に返答した。
「ティリ先輩がG-5・・・つまり新世界支部への応援に行くことになったんだけど、どうやら僕もそれに巻き込まれたようで、この商船警護の仕事が終わったらそっちに合流するんだ。だから、もしかしたら、また姉さんと会う日は近いかもしれないね。」
『その時はどうぞ、手加減してね。』
私がそう言うと「それはどうだろう。」とリノスは悪戯にニヤリと笑みを浮かべながら言った。
そんなことを話しているうちに、船はシャボンディ諸島にとまったようだ。
『それじゃあ、またね、リノス。』
「元気でね、姉さん。」
私はリノスをぎゅっと抱きしめて、それからお別れをする。
商船になっていたアルテ島の人たちにも別れを告げ、そして私はシャボンディ諸島へ上陸した。