第7章 《リヴァイ》愛ある行為を ※
「もう…」
「冗談だ。」
困ったように笑うエマの首筋に顔を埋めたまま、その香りを胸いっぱいに吸い込んで腕を離した。
ここ1ヶ月セックスできてなくて今すぐにでもしたくてたまらねぇが、明日は久しぶりの休みだ。
何も急ぐ必要はない。後でゆっくりじっくりと愉しめばいいと自分に言い聞かせた。
「そういやこれ、玄関に置きっ放しだったぞ。」
ふとエマ宛て小包のことを思い出し、エマに見えるようにその箱を掲げたのだが、それを見るなりエマは血相を変えて飛んできた。
「わーーあぁやだ!置きっ放しにしちゃって、すみません!」
素早く俺から箱を奪い取って後ろ手に隠すようにしている。
慌てようが尋常じゃない。
「なんだ?俺に見られちゃマズイもんでも入ってんのか?」
「いえ別に!そんなことはないですけど!」
「なら教えてくれりゃいいだろ。」
「や!…その………」
エマを見据えたまま詰め寄るが目線を外される。横を向いた頬は何故か真っ赤だ。
…これは絶対何かある。
でも何だ?俺に内緒にしておきたいものって…
少し考えたが思いつかない。
そもそもエマは隠し事などしない、できないタイプだ。
それがここまでひた隠しにしておきたいもの…
あぁだめだ、気になって仕方がねぇ。
「なぁエマ。そんなに必死になって隠して…俺にやましいことでもあんのか?」
じりじりと躙り寄ると、エマは“別に…”と言いながら後ずさる。
それを繰り返すと、エマが後ろ手に抱えていた箱がコツンと壁に当たった。
「ないなら見せてくれたっていいだろ?」
「それは…むり……!」
両腕をエマの顔の横について逃げ道を奪うが、エマは依然として頑なだ。
こうまでして拒まれるとこっちの不信感も増さざるを得ない。
「なら何が入ってるか教えろ。言うまでずっとこのままだぞ。」
鋭い視線を突き刺しながら凄むと、エマは怯えた目をして身を震わせた。
「………」
「言え」
「………」
「………」
そのまま無言で冷たい視線を浴びせ続けること数十秒。
エマはとうとうじっと合わせていた目を伏せて小さく息を吐いた。