第6章 ◆ファン様100名到達記念 《リヴァイ》 教訓 ※
調査兵団に入ってはや一ヶ月が経った。
俺は第一分隊に配属され、今度実施される初めての壁外調査に向けての演習に明け暮れる日々を過ごしていた。
演習は厳しいが、訓練兵団の血反吐を吐きそうな頃と比べたら幾分マシかもしれない。
それに、俺には早くも兵団生活を潤す密かな楽しみもできた。
「ジャン!大丈夫?!立てる?」
「っ…すみません大丈夫っす、」
立体機動の訓練中に着地を失敗した。
尻餅をついた俺に駆け寄り、すっと伸びる白くて細い腕。
伸ばしてくれた手を掴んで立ち上がる。
大したことないのをアピールするが、彼女は尚も心配そうにこちらを見ていた。
「痛くないんならいいんだけど、一応後で医務室で見てあげるね。自覚症状がないだけでどこか痛めてるかもしれないし。」
「いやそんな…本当大したことないから大丈夫っすよ!」
「その油断が良くないのー!小さな怪我がのちのち響くかもしれないでしょ?こう見えて怪我の手当は得意な方だから、任せて?」
「すみません…なら、お言葉に甘えて。」
「ふふふ、可愛い後輩のためなら全然!」
太陽の様な笑みを向けられて、心臓がドキンと鳴る。
栗色の髪をサラサラと陽の光に反射させながら、持ち場に駆けて行く背中をぼーっと見つめた。
俺は同じ班の2年上のエマさんに恋をしている。
小柄で可愛らしいその見た目にほぼ一目惚れだった。
それに加えて明るくて優しくて気遣いも抜群だ。
ほわほわした雰囲気も可愛らしくて、班の中でもいつも皆のことを和ませているムードメーカーでもあり、でもたまに見せるしっかりした所もギャップがあって最高だと思う。
エマさんを知れば知るほど、俺はどんどん彼女にのめり込んでしまった。