第5章 《リヴァイ》変わらない場所
“CLOSE”
そう書かれた札がかけられた、小さな町の小さな茶葉屋。
この日、私達は初めて身体を重ねた。
「エマ……っ」
「あっ、リヴァイっへいちょう……!」
軋むベッドの上で何度も名前を呼び合い、愛を囁きあった。
お互いの身体が溶けて混ざり合ってしまいそうなほど、深く、激しく交じわった。
熱を帯びた瞳、
サラサラと流れる黒髪、
私を呼ぶ掠れた声、
柔らかい唇の感触、熱い舌、
逞しい腕に抱かれる安心感、
繊細な指先に何度も何度も導かれて、
私を貫く愛おしい貴方。
このままずっと離れたくないと思った。
ずっと繋がっていたい、時間が止まってしまえばいいのにと思った。
次に会えるのはたぶん1ヶ月後。
そう、“たぶん”だ。
月に一度だけ会える。
でもそれは決してそれは当たり前じゃない。
ということを、この日に私は改めて思い知った。
貴方は自由の翼を追い求める人。
だから約束はしなかった。
約束、だなんて言えなかった。
でもきっとまたここへ帰って来てくれると信じてる。
私はそれだけを信じて、待つ。
“孤独”のように見えたリヴァイ兵長。
誰よりも強い貴方は、いつどんな時でも強くいなくちゃいけないと全ての悲しみ、苦しみを背負い込もうとしているのではないですか?
ほんの一時でもいい。
強くあろうとする自分を、少しだけでいいから休ませてあげてください。
私はいつでも変わらず、ここに居ますから。
fin.