第11章 《エルヴィン》黒の彼氏 ※
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夢見心地だった。
エルヴィンさんの隣にいるだけでドキドキして、舞い上がって、幸せで。
彼のくれる穏やかな愛は私を日毎に溺れさせ、どんどんのめり込んで好きで好きで苦しくなってしまうほど。
だから私はもどかしかったのだ。三ヶ月たってもキス以上に進んでくれないことが。
心だけじゃなく身体も、早く彼のものにしてほしい。
それは最早、焦りにも似た気持ちだった。
「ねぇ日曜暇?この間新しくできた飲み屋行こうよ!」
「いいねいいね!あたし空いてる!」
「ごめん、私その日予定あるや」
「おーまじかぁ…ってもしや、エルヴィンさんとおデート?!」
友人からの指摘に顔の筋肉が緩むのを止められない。
“エルヴィンさんとデート”。そのワードを聞いただけで頭から湯気が出そうなほどクラクラしてしまう私は、本当にどうかしているかもしれない。
「今度、初エルヴィンさん家なんだ…」
「「えーっ!?」」
私の告白に二人はまたもや揃って悲鳴を上げた。
その後はもうご想像通りだ。年頃の女子なら誰もが大好きな妄想を三人で繰り広げてひたすら悶える。
「月曜日、報告めっちゃ楽しみにしてるから!」
「頑張ってね、“いろいろ”と!」
「アハハ!良き報告ができるよう努めてまいります!」
散々盛り上がった後、私は友人達からのエールを受け取り益々意気揚々としながら金曜の夕暮れの学舎を後にした。