第10章 《リヴァイ》 一線 ※
「っ……」
浮かび上がったシルエットに声を失うエマ。
露わになったリヴァイの肉体は無駄な脂肪など一切無く、美しいと思えるほど鍛え上げられた筋肉は彼の中の“男”を強く感じさせる。
「おい…手邪魔だ。退けろ」
不機嫌そうな声に一気に我に返った。完全に見惚れてしまっていた…
眉間に皺を寄せたリヴァイに手首を掴まれる。
そう、胸を隠している手を退けろと彼は言っている。
「…やだ……」
「あ?てめぇ言ってることとやってることが違うじゃねぇか。」
「う……そうなんだけど!でも裸…恥ずかしい…」
確かにさっきは全部見せるだなんて大口叩いたけれど、恥じらうのは当たり前だ。
誰だって、初めて“好きな人”に見せるときは恥ずかしいのだから…
「エマ」
ぎゅっと自分の腕で抱きしめるように隠していると、さっきとは違う柔らかな声で呼ばれる。
腕を掴む手もう力は入っていない。
「全部見せてくれ…お前が知りたい」
「!!」
ドクン!と、一瞬心臓が止まったような錯覚に陥った。
そんな目で見ないで…
聞いたことないような声で、囁かないでよ…
エマは腕の力を弱めた。
「………」
「む、無言で見られてると恥ずかしいんだけど…」
黙って見るリヴァイに耐えられなくなって声を出すと手を掴まれ、エマの指はある部分に触れる。
ズボンを上へと押し上げる物体。
リヴァイの手が動きエマの指がそこを撫でた。
「お前の裸を見ただけでこんなになっちまう」
「…!!」
掴まれた手はそのまま上に移動して分厚い胸板に乗る。
自分と同じくらいの速さで脈打つ音が掌から伝わった。
「言っとくが俺だって同じだ…お前に昂奮もしてるが、緊張だってしてる。」
「…うん……ほんと…」
リヴァイも同じような心境であると思うと安堵が拡がる。
強ばっていた身体もすうっと力が抜けていった。
「エマ」
顔を上げると熱を帯びた切れ長の瞳が、まっすぐエマを見つめていた。
「お前が欲しくてたまらねぇ…いいか?」