第1章 〔聴こえないように〕
「葬儀屋さん、グレースさんは少し困っているようにみえますが。」
とセバスチャンが葬儀屋に伝える。
(ぴくり…)葬儀屋が反応するが返事はしないままだ。
「まだ来たばかりですし、もう少し遊ばれてはいかがですか?」
そう付け加えても葬儀屋は黙ったままだ。
何を言い出すんだこの執事は…そう思った瞬間
「いたっ…」グレースの小さな悲鳴が聞こえた。
「どうしたんだいっ!」
「トゲが刺さってしまったみたいです、、」
グレースの指をとると、先ほどの薔薇のトゲが深くささったのだろう、血が溢れ出している。
セバスチャンはその指をじっとみつめているようだ……