第1章 〔聴こえないように〕
「お菓子と比べるなんておもしろいですね」ふふふっと楽しそうにかえすグレース。
「はぁぁ〜〜〜。」それをみてテーブルに突っ伏すアンダーテイカー。セバスチャンが気に入らないようだ。
「も〜 アンダーテイカーさんっ お店じゃないのにだめですよ!」
「だって〜、、」
「どうしてそんなに機嫌がわるいんですか? 悪魔…だからとか きにしてるんですか??」「小生とっても気にしてるよ〜…」
実は、アンダーテイカーは朝起きてからずっと機嫌がわるかった。
朝食のじかんも一言も喋らず、喋らないくせにずっとグレースにくっついている。屋敷へ向かう最中の馬車のなかでも恥ずかしいほどキスを繰り返した。
「…何にもないと思いますけど……。あ!アンダーテイカーさん!あそこに薔薇がさいてますよっ わぁ〜綺麗!白い薔薇なんて初めて見ましたっ」
「そうなのか?むせかえるほど咲いている、帰りは好きなだけ持って帰るといい。」
振り向くとシエルがセバスチャンを隣に連れ サロンへ入ってきた。
「あ!シエルくん! 今日はありがとうございます…!お茶会というのは初めてで嬉しいですっ」
「初めてのものが多いんだな、グレースは。」クスッとシエルが笑う。
「グレースの初めては小生が頂いたよ〜?ずっと前にね。」
「!?/////」「なっ!!何言ってるんですか〜!」
「クスクス…」 三人は各々の反応だ。
当のアンダーテイカーはクッキーを摘みながらグレースの横から離れない。
「せ、セバスチャン…紅茶を…」シエルのその一言で本来のお茶会が始まった。
紅茶を淹れに度々グレースの横へくるセバスチャン。妙に近すぎる気がするのは小生だけだろうか。グレースはニコニコしている。
あーんな楽しそうな表情、久しぶりにみたよ…。
アンダーテイカーは頭の中でこんなことばかり考えている。
「…さんっ!アンダーテイカーさんっ!!」
「お、おや…どうかしたのかいグレース。」「もぅ、さっきからぼーっとしてますよ。」
「……ん〜。」早く帰りたいのだろう。悪魔に触れられる前に…。
「グレース〜〜。もう帰ろうか。」
「えっ!? まだ来たばっかりですよ!」「でも小生かえりたくなっちゃったな〜。約束したもんね〜?」グレースに擦り寄る。