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dearest moment

第8章 親睦会


 修兵はもう片方の腕も壁に付き、萌を挟み込む格好になる。まるで逃がさない、とでも言いたそうだ。後退ろうにも背後はすぐ壁で、背中をこすり付けるしか出来なかった。

「なぁ……こっち向いて」

 張り詰めた空気と低く囁く誘惑に耐えきれず恐る恐る上を向くと、修兵は腕を肘まで折り曲げてかがんでくる。距離が徐々に縮まっていく間中、萌は金縛りにあったかのように動けずにいた。
 気が付くと唇が塞がれていた。ゆっくりと優しく重なったと思うと、離れる瞬間ほんの少し吸われた。途端に甘く切ない余韻が唇に広がる。
 視線を上げると、色気を滲ませた修兵の瞳がこちらを見つめていた。頬が熱くなっていくのが自分で分かった。
 恥ずかしさに耐えきれず、咄嗟に修兵の腕を退けて走り出す。その後の記憶は曖昧で、ただ甘苦しい余韻だけが萌の胸に残った。



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