第2章 乙女の心は純潔か?《五条悟R18》
早朝、疲労と眠気で意識が飛びそうなまま、単独任務から戻ったみちるは真っ直ぐに高専の自室へと向かった。
熱々のシャワーを浴びて、砂埃を落として、ふわふわのパジャマに着替えて、布団にダイブ。
任務の報告書は、そのささやかな幸せを享受してからでも遅くはないだろう。
今はとにかく睡眠で体中の細胞を回復させたい。
早朝のしんとした廊下で静かに自室の扉を開けようとした時、内側から同時に扉が開いたので、咄嗟に反応出来ずに顔面で扉を受け止めてしまった。い、いひゃい。
「おっと、お帰り〜。今回もまぁ随分とボロボロだね〜。」
──────何でいるのよ、五条悟。
淀んだ目でこの世で一番扱いの面倒な教師を見上げる。
今コイツの相手とかマジで無理。
もう一回さっきの呪霊と戦う方が千倍マシ。
つーか、勝手に部屋入んなよ、セクハラ教師。
「どうせまた接近戦でボコボコにされたんでしょ?いい加減素直になって、僕に教えを請えば良いのに。」
みちるだったら色々サービスするよ?などと飄々と言っているが、勿論答えはNOだ。
「セクハラ教師に体術を習うくらいなら、呪霊にボコボコにされた方がマシ。」
「セクハラ教師だなんて心外だなぁ。………あ、みちるもしかしてこの間の一件まだ根に持ってる?あれはお互い合意の上だったと思うんだけど…?」
この間の一件。
それはもう心底腹の立つわざとらしい手振りで、閃いた素振りをしてみせる相手に胸焼けがしてきた。
えぇ、えぇ、根に持ってますとも。
いたいけな乙女(しかも生徒)の純潔を無理矢理に散らしておいて、何故根に持っていないと思えるの?
コイツ、クソofクソか??
「合意の上…?」
眉間の辺りがぴくりと無意識に痙攣した。
術式を行使してまで抵抗している生徒を力技でねじ伏せて無理矢理抱いたのに、合意とはこれ如何に?
「そ、合意の上。」
この世からもし呪霊が消え失せたら、真っ先にコイツを始末しよう。
「だってほら、あぁでもしないとみちるの心の均衡が保てそうになかったし…」
ニヤニヤと口元に不愉快な笑みを浮かべながら、まるで何もかもお見通しのような口ぶりでその男は続けた。
「それに、世の中のもっと楽しい事知ってから壊れちゃわないと、最期の時に後悔するでショ?」