第7章 意思
次の日、体調が良くなくては仕事に手がつかないでいた。
あの事に罪悪感を感じ、苦しくて仕事に集中出来ない。
どうすれば、と一人悩んでいると国木田が を呼んだ。
国木田に呼ばれた方に急いで向かう。
「お前に用があると」
そう言う国木田の方を向くと、後ろに知っている人がいた。
『ッ...!?』
は目を見開いた。
びっくりした。まさかあの人がここにいるなんて。
は慌ただしく、自分の机に戻った。
──どうしようどうしようどうしよう。
の頭の中はパニックだった。
「おい!!」
後ろから名前を呼ばれる声がした。けど、返事をするなんて無理だった。
どうしたんだ、と国木田は の方へ向かう。
「どうした、知り合いじゃないのか」
の手首を掴み、連れていこうとする。
『やだっ!離してください!』
「、お客様に失礼だぞ。
まずは相手の話しを───」
説得する国木田の言葉を遮る人物がいた。
「なんの騒ぎだ」
騒ぎを聞きたてたのか、社長の福沢が出てきた。
「し、社長!?」
福沢は入口で待っている人物に「どうぞ、お入りください」と声をかけた。
はますます落ち着きがなくなり少し、震えている。
「うちの社員のに御用があると聞きましたが、御関係は」
と聞く福沢に相手は「あぁ、親子ですよ。父の樹戸です」と軽く済ませた。
は違う、違うと首を横に振る。
「父君でしたか、それでご用件は」
「えぇ、を返してください」
「なんと...」
予想外のことで口が開いた。
「僕に黙って出ていって、ここで、働いているを連れ戻しに来たんですよ」
にこにこと話す樹戸だか、どこか笑顔の裏に闇があった。