第4章 始まり
暫くすると、ちゃんが起きた。
「あ、ちゃん、おはよう」
僕がそう言うと、ちゃんは起き上がった。
「あぁ、ダメだよ、急に起き上がったら」
僕は支えようとして、手を伸ばしたけど、 ちゃんは『大丈夫です…』といった。
大丈夫かな、と思いながら僕は手を引っ込める。
「お腹、痛くない?」
傷が擦れていたくないかと聞いた。
『いえ、痛くないですけど...』
「...そう」
『あの、ここまで運んでくれてありがとうございます。迷惑かけてごめんなさい』
「いや、全然いいよ、重たくも無かったし」
『どうして、お腹痛くない?とか言ったんですか?』
「それは、その、痛くないかな...って」
僕がそう言うと、ちゃんは服のボタンを外した。
「えっ、ちょっと、ちゃん!?」
僕の顔はさっきのように赤いだろう。
でも、目を逸らすことは無かった。
『…私、敦さんの事信じてるから話しますね』
『この傷、お父さんに付けられたんです』
その言葉で、心臓を鷲掴みにされた。
「えっ、じゃあ、その傷はお父さんの暴力で…?」
ちゃんは曖昧に頷いた。
『でも、本当のお父さんじゃないんです。本当のお父さんは、私が小さい時に死んだから。それで新しいお父さんに、その...無理矢理、せ、性行為されてたんです』
『最初は決して暴力はしてこなかったけど、私が拒否したら刃物とか出して...』
彼女にとっては辛く、苦しかった過去だ。
「 ちゃん、もう話さなくていいよ」
僕がそう言うと、彼女は首を横に振り『知って欲しいから』と口にした。