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Gerbera~原作沿い長編~【ハイキュー】

第12章 Tシャツ裏事情





西谷先輩とお昼休憩を共にして数日後、GW合宿を明後日に控えたこの日。
蛍から「西谷先輩が、部活の前に部室に寄れって言ってたよ。」との言伝を聞いた私は、もしかしてTシャツのことだろうかとワクワクする気持ちを抱えたまま、山口くんと蛍と一緒に男子バレー部の部室を訪れた。

扉に入る前から、賑やかな声が中からするのがわかる。
ドキドキと鳴る心臓を抑えて、部室に入ると、部室にはもう全員揃っていた。

「おう来たか!!Tシャツ出来てるぜー!!」

『わぁーっ。ありがとうございます!』

そう言って、袋に入ったTシャツを渡される。
一緒に渡された蛍と山口くんも、このことを聞いていたのかすんなりと受け取っていた。

白い袋を開けて中を覗いてみると、綺麗な桜色のTシャツが見える。この色は大好きだ。使っているスポーツバッグも桜色が好きという理由でずっと桜色のバッグを使っているのだから。

自分のTシャツを見てしまう前に、もうTシャツに袖を通している人達にどんな文字が書かれているのかを覗いてみる。

日向くんは”大器晩成”、スガ先輩は”不撓不屈”、澤村先輩は”七転八起”アサヒ先輩は何故か”謹賀新年”。影山くんは”単細胞”。これはもう四文字熟語じゃない。
西谷先輩と田中先輩のそのセンスが面白くて、笑いが漏れる。

横にいる蛍と山口くんが着終わったみたいだったので覗いてみると、蛍は”草食動物”、山口くんは”軟体動物”と書いてある。

『ふふっ、蛍と山口くんはTシャツも似てて仲良しだね。』

私が笑うと、蛍がジロリとこちらを見下ろしてきた。

「余裕で笑ってるみたいだけど、は何て書いてあるのさ。」

『わたし?·····えーっと·····。』

ガサガサと音を立てて、袋からTシャツを取り出す。
桜色のTシャツをパサリと開いてみると、桜色よりも濃いめの桃色で書かれた四字熟語が見えた。

『たか···ね····の····はな···。』

四文字熟語を読み切って、自分の顔に熱が一気に集まるのがわかる。”高嶺之花”、遠くにいるだけで、手に入れられないもの。憧れるだけで、自分には程遠いもの。

隣で蛍と山口くんが爆笑しているけれど、声が遠く感じる。
嬉しいけれど、とっても恥ずかしい。



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