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Gerbera~原作沿い長編~【ハイキュー】

第10章 烏野の守護神




『この腕を見れば、わかります。』


スガ先輩が、リベロは謹慎になったのだと言っていた。
それがきっと体育館で言っていたアサヒさんという人と何かあったということだったんだろう。
でもこの腕をみればわかる。きっと謹慎の間も、どこか違う場所で練習していたんだろう。だって痣は、まだ出来たばかりのもののようだったから。
西谷先輩の腕から手を離して、西谷先輩のTシャツに目を落とす。
Tシャツに書いてある。猪突猛進の文字。
きっとこの人は、良い意味でも悪い意味でも、このTシャツの文字通り素直で一直線な人なんだ。


『澤村先輩が言ってました。守護神がいるって。西谷先輩のことだったんですね。』

「大地さんが!?な、そん、なんだそれ!そんな大袈裟呼び方されたって俺は別に!····ホントに言ってた?」

『言ってましたよ。』

西谷先輩、嬉しそうだ。その素直な反応に、笑みが零れる。
でも、私はお願いしなければいけない、この人に。

『あの、厚かましいお願いだってわかってます。でも、お願いします。レシーブの練習付き合って下さい。』

お願いします。と頭を下げる。
私はバレーがプレイ出来る訳じゃない。だから、皆の為に出来ることをしたい。西谷先輩が戻らないと言っている以上、戻って下さいとは言えない。私には、西谷先輩の抱えている事情が分からないから。でも、出来ることはやりたいのだ。

「お前、バレー部入って1ヶ月も経ってねぇんだろ?何でそこまで出来る?」

頭を上げて西谷先輩の顔を見る。心底不思議そうな顔。

『後悔、したくないんです。負けて悔しそうな顔、見たくないんです。私に出来ることは、何でもしたいんですっ。』

「·······。」

近づいてきた西谷先輩が、私の頭をポンと撫でた。

「···わかった。練習は付き合う。····でも、部活に戻る訳じゃないからな!レシーブ練付き合うだけだからな!」

『本当ですか!?』

「おう!だから、んな顔すんな!な!?」

そう言って西谷先輩は、私の頭を今度はわしゃわしゃと撫でて、ニッコリと笑った。

『ありがとうございますっ。本当にありがとうございますっ。』

西谷先輩のいつもの笑顔に、こちらも頬が緩む。

『西谷先輩は、やっぱり頼りになる先輩ですねっ。』

「·····頼りになる·····先輩·····?」

『はいっ。』

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