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Gerbera~原作沿い長編~【ハイキュー】

第2章 入学式


side月島蛍




入学式、なんて、本当めんどくさい。
新しいクラスも、自己紹介も、キャーキャー声を掛けてくる女子も。身長が高いから目立つのはわかってる。
バレーをするには便利な身長も、こういう時にはちょっと鬱陶しいと思ったりもする。



入学式も終わって、黒板に貼られた席順に名前の書かれた紙を見て自分の席につく。幸運なことに窓際だ。

これから教室で明日からの授業について連絡事項があるらしい。
ガヤガヤ騒がしい教室の中、ふと横から「月島、くん?私、。よろしくね。」と声をかけられた。
こちらも一応「ヨロシク」と返すと、その子はどこか安堵したような、ほっとした表情をしたように見えた。




それにしても前髪、短くない?
不安げに下げられた眉毛がよく見える。



眉の上でキッチリと切りそろえられた前髪。
胸元まで伸びた、ミルクティーみたいな色素の薄い髪。
緩やかに波をうっているのはクセなのだろうか。
廊下から入った僅かな風に揺れるその髪は、フワフワと揺れていた。


幸運なことに、隣の女の子、サン?は、そこらのめんどくさいヤツらとは違うみたいだ。
甲高い声で喋る他の女とは違って、静かで、穏やかだ。
彼女のその柔らかな雰囲気は、この騒がしい教室の中で、どこか異質なような気さえした。まるで彼女の周りだけ、風景から切り取られてしまったかのように、そこだけを包む暖かな日差しのような空気。



珍しく初対面の彼女と話を続ける僕。
部活の話になって、バレー部に入るのだと言うと、「私もバレー部に入るの。男子バレー部のマネージャーになりたくて」とふわりと笑った。








同じクラスになった山口と、白雪サンと職員室に入部希望用紙を提出して、今日はそのまま帰ることになった。






山口と、彼女と廊下を歩く。

そういえば、前髪が気になる。
どうしたのと聞いてみれば、急に顔を真っ赤にして慌てている。


そんな顔もするんだ。





短い前髪を撫で付けながら慌てるその様は、教室で感じた少し大人びた彼女の印象とは違って、言うなれば年相応に見えた。


「プッ、何そんなに焦ってるの。」


そう声を掛ければ、また焦って喋り出す。
コロコロと変わる表情に、惹き付けられる自分に気づく。









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