第9章 練習試合 対青葉城西戦
青葉城西のレギュラーの人達は、烏野レギュラーよりも全体的に身長が大きい。
自分よりも30センチ以上も大きな人達に囲まれてしまって、無意識に1歩足が後ろに後退する。
『えっと、試合お疲れ様でした。はちみつレモンを作って来たので皆さんに差し入れです。宜しければどうぞ。』
「えー!?本当!?ちゃん、ありがとー!!」
及川さんが受け取ってくれた。
「おいおい、なにお前知らない間に烏野のマネちゃんと仲良くなってんの?」
「なにマッキー、羨ましいの?」
「そりゃお前、こんな可愛いマネちゃんとはお知り合いになりたいわなぁ。ってことで俺は花巻貴大、宜しく。」
『はい。存じ上げてます。岩泉さん、松川さん、矢巾さん、渡さん、金田一さんに国見さん。私はです。宜しくお願いします。』
順に顔を見て名前を言っていくと、皆一様に驚いた顔をしている。
松川さんはヒューと口笛を吹いた。
「ちゃん、名前知ってるの!?」
『はい。今日の練習試合を記録しておきたくて、先生にお願いしてメンバー表を見せて貰いました。』
今日の試合のことも、ちゃんと記録させて貰いました、と笑ってみせると岩泉さんがぶはっと吹き出した。
「おーおー。今回入った烏野のマネージャーは怖ぇな!」
『へ!?』
「まぁでも、俺達と次の試合する時にはその記録は役に立たねぇかもしれねぇけどな。」
岩泉さんがそう言いながら私の頭をグリグリと撫でた。
『わわわっ。』
「あ!!ちょっと岩ちゃん、それセクハラだから!!」
「あぁ!?クソ川、てめぇは存在自体がセクハラだ!!」
「岩ちゃん酷い!!」
岩泉さんが、パシンっといういい音を立てて及川さんの肩を叩いた。この2人はいつもこんな感じなんだろうか。とっても仲が良さそうだ。思わずふふっと笑いが零れた。
「あ、ねぇちゃん!俺のサーブどうだった!?凄かったでしょ。」
『あ、はい。とっても!威力も高いのに、コントロールも凄くて驚きました。·····沢山沢山、練習されたんでしょうね。』
及川さんはあのサーブを打つ為に、どれだけの時間を積み重ねてきたのだろう。
天才と言われるこの人だって、きっと沢山沢山つらい思いをして沢山練習してきたんだと思う。
何となく、及川さんの手を見つめてしまう。