第9章 練習試合 対青葉城西戦

「さてさてちゃん、体育館に戻るところなんだよね？及川さんがエスコートさせて頂きます。」

及川さんはそう言うと、まるでテレビに出てくる王子様みたいに恭しく頭を下げた。
その様子が何だか妙に似合っているような、可笑しいような感じがして、思わず笑いが零れてしまった。

『ふふっ。はい、及川さん、お願いします。』

「っ！··········へぇー。笑うと益々可愛いねぇー。及川さん虜になっちゃいそう。じゃ、行こっか。」


及川さんはそう言うと歩き出した。
歩きながらこちらをチラっと見て微笑む及川さんを見上げて思う。
背も高くて、顔も整っているし、とっても優しい。凄くモテそうだ。確か、月刊バリボーで及川さんを見かけた時も、そういった面が全面に押し出されていたように思う。
プレイを見たことがないから、詳しい事はわからないけれど、何だか人を巻き込むカリスマ性のようなものがあるような気がした。
多分この人、凄い人だ。試合に出ているこの人を早く見てみたい。


焦る気持ちが現れるように、私は早足で体育館へ急いだ。