第8章 緊張を解すには?
『もしもし?』
「っもしもしちゃん?元気にしてた?」
『衛輔くん?うん、元気だよ。』
久しぶりの衛輔くんの声。
「っはぁ、良かった。急に宮城に引っ越すって聞いたから心配した。」
急に宮城に引っ越す事になって、編入の準備やらお引越しの準備やらで衛輔くん達には沢山お世話になったにも関わらず、録な挨拶も出来ないままこちらに来ることになってしまった。
『心配かけてごめんね。』
「いや、声が聞けて安心したよ。」
衛輔くんは、音駒高校で知り合ったのだけど本当に良くしてくれた。音駒高校のクロちゃん達の先輩達は、少し怖い人が多くて、気圧されていた私と研磨を一生懸命クロちゃんと一緒に庇ってくれた。私にとってお兄ちゃんみたいな存在だ。
『虎くんは?』
「ん?相変わらずだよ、俺の横で固まってる。」
虎くんは、私が話しかけに行くといつも固まってしまってなかなかお話してくれない。もしかして嫌われているのかなって思ったけれど、そうじゃないって前にクロちゃんが教えてくれた。虎くんは、女の子と喋るの緊張しちゃうんだって。
『海くんは?』
「ここにいるよ。俺もちゃんが元気そうで安心したよ。」
「おい!!俺もいるだろ、無視すんな!」
『クロちゃん?ははっ、無視してないよ。あー皆元気そうで私も安心した。こうやってスピーカーにしてると、皆と一緒にいるみたい。』
「。相談、あったんでしょ?」
『あ!そうだったっ、研磨ありがとう。』
「ん?俺達に相談?」
『うん、あのね、皆試合前とかに緊張したらどうやってその緊張解してるのかなぁって。同じバレー部の子がね、1年生なんだけど、明日が練習試合で凄く緊張してて、どうにかしてあげたくて。』
「緊張を解す方法かー。」
衛輔くんが答えてくれた。
「俺は別にあんまり緊張しねーなー!」
『クロちゃんが緊張しないのはさっき研磨に聞いたもんねー。』
「深呼吸したり、音楽聞いたりとか?」
『ふんふん。』
衛輔くんの言ったことを頭の中に記憶しておく。
「面白い動画とか見るといいって、俺は聞いた事があるな。」
次は海くんだ。
うーん。さすが衛輔くんと海くん。頼りになる。
研磨とクロちゃんが頼りない訳じゃない。今回の事は、ちょっと2人にはあんまり縁のない話だっただけで。