第7章 お昼休みの出会い
「俺の名前は西谷夕!!2年だ!!」
『あの、です。1年です。』
予想通り中庭に出て、ベンチの前へと移動する。
デデン!!という効果音が付きそうな彼の自己紹介の後、2人でベンチに座った。
「わざわざ礼を言いに来てくれたのか?」
『はいっ。あの、本当にありがとうございました。転びそうな所を助けて貰って、プリンまで。』
「ははっ、あのプリン人気だもんな!!美味かったか?」
『はい、とっても。それで、えとお金と、お礼にと思ってクッキーも。』
「え!?マジで!?何か逆に気ぃつかわせちまったな。金はいいよ、俺の奢り。でもクッキーは貰う。」
『でも。』
「いいって、いいって!!その代わり!!俺の事は西谷先輩と呼んでくれ!!」
『え?』
戸惑う私を他所に、西谷先輩はこちらをキラキラした大きな目で見つめてくる。クルクルととてもよく表情の変わる人。
可笑しくなってしまって、笑いが漏れてしまった。
『ふふっ、はい、西谷先輩。ありがとうございます。』
「っく!!破壊力抜群!!」
『え?』
「いや、こっちの話。それにしても!お前、すげえ制服似合ってんな!!めちゃくちゃ可愛い!元々女子の制服が可愛くて烏野に来たけど、こんなとこに、こんなにこの制服が似合う女子がいたとはな!!」
いつの間にか焼きそばパンを頬張っている西谷先輩は何だかとっても楽しそうだ。その顔に釣られてこちらも楽しくなってしまう。
「潔子さんが綺麗系No.1なら、は可愛い系No.1!どちらも選べねぇ。」
きよこさん?きよこさんって潔子先輩?
知り合いかな?
しかし、聞く間もなく話が変わってしまった。
いつの間にか焼きそばパンも、コロッケパンも、ハンバーガーも食べ終えている西谷先輩は、私の渡したクッキーに手をつけていた。
「食ってもいい?」
『も、もちろんですっ。私が作ったので、お口に合うか分からないですけど。』
「手作り!?マジで!?ありがとな!!」
そう言ってパクパク食べていく西谷先輩。
お弁当を食べ終えたので、西谷先輩を見つめていると、うまいうまい言いながらどんどんクッキーが口の中に消えていく。
身体は小柄なのに、よく食べる人のようだ。
美味しそうに食べるその姿に、こちらまで嬉しくなる。