第7章 お昼休みの出会い
「、それで昼飯足りるのか?せっかくだし、お前も食えよ!」
そう言って、西谷先輩はクッキーをつまんで私の口にもってきた。
少し恥ずかしいけれど、ぱくっと西谷先輩の手からクッキーを食べる。口に広がるココアの香りと程よい甘み。食後の甘い物は格別だ。
『美味しいです。』
「なー!!本当ありがとな!!」
と、彼に渡したクッキーは、ペロリと彼の胃へと収まった。
何だか、思いがけず先輩と楽しい時間を過ごしてしまった。
ニコニコと笑う西谷先輩といると、こちらまで楽しくなる。
そんな、明るい雰囲気を持つ人だなと思った。
「昼休憩もう終わりだな。」
『あ、そうですね。教室に帰らなきゃ。』
「クッキー美味かったし、めちゃくちゃ楽しかった。また見掛けたら声掛けろよ!!」
『っいいんですか?』
「当たり前だろ!!プリンも、いつでも買ってきてやるよ!」
『ははっ、ありがとうございます。』
ニカッと笑う彼に釣られて、また笑みが零れる。
「おう、じゃあ、またな!!」
そう言って、彼は絶対領域と書かれたTシャツを靡かせて颯爽と去っていった。 そう言えば、絶対領域の意味も聞きたかったけれど、忘れてしまっていた。
それにしても、本当に太陽みたいな明るい素敵な人だった。
もし、また見かけることがあれば、お言葉に甘えて声を掛けさせて貰おう。
次の授業開始の予鈴まであと少し。
私は西谷先輩の背中を見送った後、自分の教室への道を急いだ。
まさか、意外なところでまた再会を果たすなんて、この時の私には知る由もなかった。
━━━━━━━おまけ━━━━━━━
1年4組教室
「遅い。何してたの?」
『蛍!プリンの先輩に会えたよ!』
「は、ほんとに?」
『うん、一緒にお昼ご飯食べてきた!素敵な先輩だったよ。』
「ふーん。次はやっぱり僕もついてく。」
『蛍も先輩に会いたいの?あ!蛍もプリン食べたいの?』
「··········別に。何となく。(放っとくとどんどん余計な虫が付くからデショ。)」
『次は一緒に購買行こうね。』
「ん。(無邪気に笑っちゃってさ。だから放っておけないんだって。)」
どんどん過保護になっていく月島蛍くんでした。