第6章 三対三
side 菅原孝支
初めて出会った時の彼女の印象は、大人しそうな子。
ふわふわっとして小さくて可愛らしくて。
こちらに笑いかけてくれたその顔は、緊張からかどこかぎこちなく見えて。それがまた可愛らしくて。
人見知りなのだろうか。
だったら少しずつでも慣れてくれたら嬉しいな、なんて思っていた矢先に彼女と出会った渡り廊下。
俺の寝不足を心配する彼女は、最初の印象より少し大人びて見えて、印象の違いに驚いた。
でも、その後に手にチョコレートを握らされたその時の顔は、年相応どころか少し幼く見えて。
コロコロと変わる彼女の印象が面白くて。どうしても目で追ってしまう。
3対3の試合の後、月島達に走り寄ったちゃんがはしゃいだ様子で何か言っている。少し離れていてもわかる、照れた月島の顔。あの月島にあんな顔をさせるなんて。彼は、少し見た限りでは、自分の感情を表に出す事をあまり良しとしていないように見えたから。
次は日向達の方に向かった。
やっぱりどうしても目で追ってしまう。隣にいる大地も、様子を伺っているようだった。この距離だと、ちゃんの言っている声も聞こえる。
『日向くんっ。えっと、影山くんっ。試合おめでとう。2人とも凄かったねっ。日向くん、凄い高く飛べるんだねっ。瞬発力も凄いよっ。影山くんも、凄い精密なトス。飛んだ先にボールを合わせるなんて、初めて見たよっ。本当に凄いよっ。』
はしゃいだ様子で日向と影山に声を掛けるちゃん。
2人とも顔を真っ赤にしてるのが見えて、ぷッっと笑いが漏れた。
「スガ、さんは、天然の褒め上手だなー。」
「なー。さっき月島も照れてたべ。」
「月島が!?それは、凄いな。」
「それとさ、多分ちゃんて、人の体調とか見るの長けてる気がすんだよね。」
「体調?」
日向の前でぴょんぴょんと飛んでいるちゃんの後ろ姿を、可愛いなと見つめながら続ける。
「やー、この前さ、渡り廊下で日向と練習してるところに偶然ちゃんに会ってさ。俺の顔少し見て、体調悪いですかって。その時、確かに俺寝不足でさ。もしこれが偶然じゃないなら、さ。」
それに·····と、続ける。