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Gerbera~原作沿い長編~【ハイキュー】

第23章 番外編 とある少女Aの独白





ふわりと形容詞の付きそうな笑顔でそう私に告げた彼女は、白磁の様な顔をほんのりと薄紅色に染めて、恥じらうように顔を少し俯けた。



その様子がなんとも言えず可愛らしくて、思わずぎゅっと抱きしめてしまいたくなるような衝動に駆られた。


彼女の瞳を見つめたまま、なんとか返事を返さなくてはと口を開いては閉じ、開いては閉じ。
こんなふうに柔らかな微笑みを他人から受けることすら久しぶりで、どうしたものかと思考すらままならない。
自然と顔に熱が集まるのがわかる。と、私はそう思っていても顔にはきっと表れていないのだろうけれど。




「…よろしく。」




結局、ぽそりと短い言葉を返すことしか出来ず、これでは幻滅されただろうかと気分が落ち込む。
不快な思いをさせたくないから、人には関わらずに静かにしていようと思った矢先にこれだ。
目の前の彼女も、きっと嫌な思いをしたに違いない。こんな不愛想な顔。



自然と外れていた彼女への目線を恐る恐るまた戻す。





「…っ。」





きっと嫌悪されているだろうと、そう思ったのに、視界に入った彼女のその顔は私に向かってさっき以上に破顔して微笑んでいたのだ。

上品に見えていた彼女のその笑顔は、なんだかとてもあどけなく可愛らしくて。また顔に熱が集まるのがわかる。


本当に、なんて愛らしいんだろう。



ふと、彼女の視線が私の視線に合わせるように低くなる。
少しかがんで覗き込んできた彼女は、なぜか心配そうに眉根を寄せてこちらを見ている。




『顔が少し赤いよ?大丈夫?体調…悪いの?』



「ぇ…。だい…じょうぶ。」



『そう?体調悪かったら、声、掛けてね。遠慮しないでね?』




鈴の様な声で、ゆったりとした口調で話す彼女はなおも心配そうな顔をこちらに向けながら首をちょこんと傾げた。




「あり…がとう。」




またふわりと笑った彼女が、自分の後の席に向かって着席するのを感じながら、何故私の顔が赤いなんてわかったんだろう、こんなこと言われたことないのにとか。何でこんなに私に優しくしてくれるんだろうとか。
頭の中でパニックを起こしながら、先生の話なんてそっちのけで彼女のことばかりを考えていたら、その日の予定はいつの間にか終わってしまっていて、気付けばもう家に帰りついていた。






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