• テキストサイズ

Gerbera~原作沿い長編~【ハイキュー】

第21章 インターハイ予選 対常波戦







田中先輩の豪快なスパイクから始まった試合は勢いそのままに1セット目を先取。流れをそのまま維持した烏野は、2セット目の開始から点をリードしたまま2セット目も終盤を迎えようとしていた。


観客席から見ていた他校の人達は気づいただろう、去年までの烏野とは違うということを。
烏野が試合をしているこのコートを注視している選手が沢山いる。
ガヤガヤとこちらを指さして、何かを話しているのが見える。



このままなんのハプニングも無く、皆のこの調子が続けばこの試合は恐らく勝つことが出来るだろう。


それでも、足りない。
まだ足りない。



最後のタイムアウトを常波がとった。
点数は17対8。烏野があと8点取れば試合はもう終了だ。


それぞれに汗を拭って、ドリンクを持つ烏野の選手達。
私は立ち上がって、皆に声をかけた。



『試合が始まる前に言いました。観客席を巻き込もうって。』




観客席の空気というものは、試合をしている選手達に少なからず影響を与えるものだ。

視線を集め、追い風を吹かせ。

異端な物は、嫌でも注目を集める。
この烏野にとって、この体育館にとって、このバレーボールの世界において、小さな日向くんがMBであるというこの状況は異端だ。



『観客席には、沢山の観客がいます。青葉城西高校も、次の相手になるだろう伊達工業も。皆がこの試合を見ています。この状況を利用しましょう。』



次の試合、徹底したリードブロックで鉄壁を誇る伊達工業。
恐らく、日向くんの存在は伊達工業にとっても驚きのものであると思う。そのまま、その空気を利用したらいい。
情報を増やせ、敵を惑わせ。
会場まで味方につけよう。



『次の試合、田中先輩とアサヒ先輩がスパイクを打ちやすくする為に、もっと日向くんに視線を集めましょう。あの速攻は今まで通り使わずに、でも、もっと、あの烏野の10番は凄いんだと見せつけましょう。日向くんが凄いって、皆が思えば思う程、田中先輩とアサヒ先輩はスパイクを打ちやすくなります。』



会場全体が日向くんのことを凄いと、そう思えば思う程、伊達工業へのプレッシャーになるだろう。
会場の”雰囲気”というものは存外に大きい。
効果が少しの間しか効かないならそれでもいい。
その間にとった点数も、大事な大事な1点なのだから。




/ 224ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp