第4章 烏野高校バレー部
「あら、可愛い。驚かせちゃってごめんなさい。私、清水潔子、3年。男子バレー部のマネージャーなの。」
『あっ、は、初めまして。』
「マネージャーは私しかいないから、入ってくれて嬉しい。移動しながら説明したいんだけど、いいかしら。」
『はい。』
すぐ後ろに来ていた蛍と山口くんを見上げると、蛍は頷いて、山口くんはニッコリと笑った。
「僕達も部活行くから、行ってらっしゃい。」
「さん、また後でね!」
『うん、行ってらっしゃい。』
二人に手を振って、廊下を清水先輩と歩き出す。
何だかとっても視線を感じる。
やっぱり先輩と一緒だからだろうか?
隣を歩く、女性にしては少し大きめな清水先輩を見上げると、少し切れ長の瞳と知性的な眼鏡。口元の黒子が何だか艶かしい。
やっぱりとっても美人だ。
「ちゃんって呼んでもいいかな?」
『はい、もちろんです。』
「まずは、動きやすい格好に着替えて貰いたいんだけど、ジャージ、持ってきてる?」
『はい。』
「マネージャーには部室がないから、基本的には入る部活の女子部の部室を借りて着替えることになるの。私達は女子バレー部の部室よ。」
『はい。』
「マネージャーの経験はある?」
『はい。小学校の時は、バレーのクラブのお手伝いをして、中学校の時は、男子バレー部のマネージャーをしていました。』
「あら、頼もしい。中学の時とは勝手が違うこともあると思うから、少しずつ慣れていってくれればいいし、何でも聞いてくれていいからね。」
『はい。清水先輩、ありがとうございます。』
「潔子でいいわ。·····それにしても、ふふっ。ちゃんて、ふわふわしてて小さくて、本当可愛い。こんなに可愛い後輩が出来るなんて、嬉しいわ。」
『そ、そんな。えっと、潔子先輩も美人で、隣にいると何だか緊張します。』
「ふふっ、ありがとう。さ、部室はここよ。」
潔子先輩との会話に夢中になっていた私は、いつの間にか部室棟に来ていたのに全然気づかなかった。
本当に、先輩は美人で物腰も柔らかくて、優しくて。
今まで、女性の先輩というものに縁がなかった私は隣に並ぶだけで何とも擽ったい気持ちになる。
これから共にマネージャー業をする先輩がこんなに優しくて素敵で良かった。