第4章 烏野高校バレー部
高校生活が始まって数日。
授業も開始され、少しずつこの生活にも慣れ始めた。
席の近い蛍と、蛍の幼なじみの山口くんとは自然と一緒にいる時間が長くなった。
進学クラスらしくお勉強の話をしたり、時にはバレーの話をしたり。
すっかり蛍と私は、家が隣同士ということもあり打ち解けることが出来たし、一緒に登下校することが習慣化しそうだった。
山口くんは、蛍と私の家が隣同士だったことをとても驚いていた。
確かに、こんな偶然はなかなか無いと私も思う。
すっかり、山口くんと蛍の間に挟まれて歩くことに慣れてしまった。元々、クロちゃんと研磨に挟まれて歩いていたので、特に違和感もなかったけれど。
授業も終わり、ふーっと息をついて隣の席を見ると、やっぱり蛍は188センチということで、とても大きい。
なんだか机が小さく見えるような。
と、余計な事を考えていると、なんだか廊下がザワザワと騒がしい。
何だろうと教室の入口を覗いてみるけれど、私には関係ないだろうとすぐに視線を外し、今日こそ始まる部活に向けて支度を始めた。
中学校の時から使っている桃色の小さめのスポーツショルダーバッグを開けて、ジャージとシューズとヘアゴムが入っているのを確認する。
『よしっ。』
と小さく口に出して、隣ですっかり準備を終えて待ってくれている蛍に視線を移す。山口くんも準備万端のようだ。
「、準備出来たなら行くよ。」
『うん、お待たせしちゃってごめんね。』
蛍と山口くんを見上げて返事をするとともに、また教室の入口に視線を移すと、黒髪の美人なお姉さん。このクラスの人ではない、先輩かな?
どうやら先程の廊下のザワザワの原因はこの人のようだ。
廊下に吹く微かな風に髪を揺らしながら、静かに口を開いた先輩。
「さんはいる?」
『へ?』
と、美人な先輩の口から出た私の名前に驚いていると、クラスに残っていた人達の視線が私を捉える。
「さん、知り合い?」
山口くんの問いにぶんぶんと首を振っている間に、先輩の視線は私に移る。
先輩はニコリと微笑むと、私に手招きをする。
私と、蛍と、山口くん。三人で疑問符を浮かべながらも、呼ばれた私は先輩に駆け寄る。
『わ、わたし、です。』