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Gerbera~原作沿い長編~【ハイキュー】

第20章 インターハイ予選前日譚






自分で思っているよりも、穏やかな気持ちで日々は過ぎていった。
穏やかに、とは言っても部活での練習は厳しそうであったし、そうなればマネージャーである私達のやることも増えていたけれど。


忙しく過ごすことで、時分の気持ちの面でも折り合いを付けようとしていたのかもしれない。
それでも、こうして穏やかに過ごせた事は自分にとってとても良かったのだと思う。
冷静に考えて、皆の体調などにも気を配ることが出来た。
そして自分の体調も、今までにない程ばっちりだ。




そして、インターハイ予選をついに明日に控えた今日。
お昼休憩に、潔子先輩と一緒に職員室にいる武田先生を尋ねた。
今日の練習終了後に、少しだけ時間を貰う為だ。


潔子先輩が準備してくれた応援幕。
そして、自分が準備したお守り。
応援幕は職員室には持ってこられなかったけれども、お守りは持参できたので、武田先生にこんなものを渡そうと思っていますと見せると、武田先生は驚いたように目を見開いて固まっていた。




『せんせ?』



私が呼び掛けてみると、ハッとした表情の後に先生はふわりと笑った。



「あなた達は、本当に·····。っありがとうございます。きっと彼ら、とても喜ぶでしょう。是非、渡してあげてください。」


『はいっ。あ、えっと、それで。先生の分も作ってみたんです。良かったらどうぞ。』


「えっ?僕にもですか!?」


『はい。先生も烏野バレー部の一員だと思ったので。』




紙袋に入っていた、先生が部活の時に来ているあの抹茶ミルクのような色合いのジャージを模して作ったお守りを出す。
先生のは背番号の代わりにイニシャルを入れた特別製だ。

先生が控えめに出したその両手のひらに、私はお守りをそっと乗せた。



「ありがとう···ございます。っ本当に、ありがとうございます。」



そう言いながら、胸に大切そうに抱きしめた武田先生の様子に、とても嬉しくなった。
そして、「本当に嬉しいと思うと、いつもの言葉も出ないものですね。」なんて笑った武田先生を見て、私も笑みがこぼれた。

鵜養監督にも色の違う同じものを用意しているので渡したいと話すと、それも快くOKしてくれた。


皆も喜んでくれるだろうかとドキドキした気持ちを抱えながら、私達は職員室を後にして、お昼休憩を終えた。








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