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Gerbera~原作沿い長編~【ハイキュー】

第20章 インターハイ予選前日譚






そして、お守りが完成したのと時を同じくして、宮城県よりも少し遅い日程で行われるインターハイ東京予選のトーナメント表も発表された。


クロちゃんから送られてきたメッセージと共に添付された写真にはトーナメント表の全容が映っていた。

音駒高校の文字を探し出して、そのブロックに集った学校の名前を順を追って見ていくと、同じブロックにあったのはシードの欄に井闥山学園の文字。


背筋が凍るというのは、こういうことを言うんだろう。
順調に勝ち進めば2日目には当たってしまう。クロちゃん達音駒が強いのは勿論知っているし信じている。
けれど、瞼の裏に焼き付いている去年春高で見た、1年生でありながらの佐久早さんのあの圧倒的なプレイ。
佐久早さんは今では高校バレーで3本指に入るエースだと言われている。
あのぼっくんよりも強いんだ。



勝ち進めばいつかは当たるということはわかっていた。
けれど神様、どうしてこんなに早く当たってしまうの。



思わずトーナメント表を確認してすぐにクロちゃんに電話を掛けてみた私。

「あー、こんなに早く当たっちまうなんてなー、倒しちゃったら一躍ヒーローじゃね?」

なんてクロちゃんは笑って言っていたけれど、やっぱりいつもと比べると少し元気が無いような気がして。
それでも、きっとクロちゃんの中で色々と折り合いを付けているのだろうと思うと、何か声を掛けたいと思うのに何も言えなかった。


勿論、勝ちを諦めている訳じゃない。そうじゃないけれど、佐久早さんという大きなエースの存在に畏怖してしまうのはどうしようも無い感情のように思えた。
去年度の春高で、凄い凄いと井闥山学園のプレイを見ていた自分達の姿を思い出す。
あの学校と、試合するかもしれないんだ。





烏野が当たる青葉城西、音駒が当たる井闥山学園。


どちらも自校よりも各上の相手だ。

あぁ、それでも私はやっぱり、勝てるのだと信じたい。




それならば私は、目の前の出来ることを一つ一つ頑張るだけ。
烏野バレー部の皆が、なるべく練習に集中して取り組めるよう、不便が無いよう、そして万が一にも怪我をしないように。


いつも通りを心掛けながら、私はインターハイ予選の前日の練習が終わるまでできる限り一生懸命皆のサポートをしようと心に決めた。



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