第20章 インターハイ予選前日譚
毎日少しずつ続けていたお守り作りも、コツコツと頑張ったお陰で、インターハイ予選の数日前には何とか全て出来上がった。
作ったことがあるとは言え、こんなに沢山のお守りを作ったのは初めてだったけれど、これだけの量を作ったという達成感と、どんどんと腕前が上がっていくというその実感に、力になりたいとそう思って作り始めたものだったけれど、こちらこそ気持ちの面で何か大きなものをもらったような気分になってしまった。
応援幕を綺麗にしていた潔子さんの方はというと、そちらも何とか綺麗にして、ほつれまで直したということをこの前の部活の前に聞いている。
少しずつ少しずつ、自分たちのしていることの成果をお互いに発表していると、練習を頑張る皆の為に出来ることがあるのだと感じられてとても嬉しくなった。
潔子さんも嬉しそうに笑っていて、それを見ると尚更私は心の中がポカポカと暖かくなってまた笑みがこぼれてしまうのだった。
肝心のバレー部の皆の様子はというとインターハイ予選のトーナメント表も発表されて、益々練習にも力が入っているようだった。
体育館に響くボールの音と掛け声が響く体育館は熱気が凄くて、皆のその様子を見るだけでこちらも知らず知らずの間に力が入ってしまう。
私が鵜飼監督に出した、他校のデータは、インターハイ予選の組み合わせを見ると、多少なりとも役に立てそうだった。
一回戦を順調に勝ち上がることが出来れば、注目していた伊達工業と当たることになりそうだったからだ。
他に注目していた、和久谷南、言わずもがなの白鳥沢学園が取りあえず同じブロックにいないことに安堵する。
けれど、もし伊達工業に勝つことが出来たなら。
頭の中に思い描いたトーナメント表に、クッキリと印象深く残っている青葉城西高校の文字。
伊達工業に勝てたならば、次は及川さん率いる青葉城西との試合になる。
あの及川さんが最初から試合にフルで出るということが脅威だと、自分の勘が言っている。
青葉城西ばかりに気を配る訳にはいかない。
試合では何が起こるかわからない。
上ばかり見ていて、足元を掬われることなんて、よくあることだ。
皆、試合に負けに来ているわけじゃない、勝ちに来ているのだから。