第18章 電話越しの梟
「···ハイ、ナンデショー?」
『皆に迷惑かけちゃダメでしょー。』
「ハイ、ゴメンナサイ。」
「黒尾さん、相変わらずちゃんに弱いんですね。」
「うるせー、赤葦!」
「ちょっと!俺も仲間にいーれーてー!」
「木兎さん声が大きいです。」
「はぁー、もう本当帰ってよ。」
『ふふっ。』
受話器から聞こえる皆の賑やかな声に、思わず笑いが零れる。
何だか皆と一緒にいるみたい。
研磨は嫌がってるけれど、研磨のママは友達連れてきたの喜んだだろうな。研磨には言わないけど、ちょっと心配してたもんな。
ふと視線を彷徨わせると、テーブルに置かれたフェルト生地がまた目に入る。そういえば、お守りに背番号を入れたいと思っていたことを思い出す。あっ!と声を上げれば、ガヤガヤと騒いでいた電話の向こう側が静かになった。ちょうどよくかかってきたこの電話で、皆の背番号を聞いてしまおう。
『そう言えばね、皆に聞きたいことがあったの。』
「おう!!なんだなんだ!?の為なら何っでも答えてやる!」
『ふふっ、ぼっくん大袈裟だよ。···えっとね、今インターハイ予選に向けてお守り作ってるんだけど、皆の分も作りたいから背番号を教えて欲しいの。学年が変わって背番号も変わったでしょ?』
「···おまもり?まじで?」
『うん、本当!ぼっくんと京治くんの分も作るから教えて?』
「へいへいへーーい!!!」
「木兎さん人の家で煩いです。ちゃん。俺は5。」
「あ!あかーし、狡ぃ!俺4!!4、4!!」
『相変わらずぼっくんはエースナンバーだね。クロちゃんは1?研磨は?』
「おー、俺が1で研磨が5。毎年ありがとな。」
「はー?黒尾達、毎年にお守り貰ってんの?」
「当たり前だろ。幼馴染み舐めんな。ほれ、研磨の鞄に全部ついてんだろ。」
「あー!!本当だ!!」
「減るから見ないで。」
『木葉くん達のも作った方がいいかな?背番号教えてくれる?』
忘れてしまわないように、慌ててメモ帳とペンを準備する。
「···先輩達の背番号?えーと何だったかな?覚えてないな。」
『えっ、そうなの?』
京治くんの言葉で、反射的に握っていたペンを置いた。