第3章 幼なじみ
はモテる。
だって可愛いから。
あんなちっちゃくて、ふわふわで可愛いの、男が放っとく筈ない。
でも、クロがを見るやつ、視線で射殺してたの、知ってるし。直接牽制に行ってたのも知ってるし。
ずっと一緒にいて、の交友関係狭めてるのはわかってた。でも、おれも、クロもを手放せない。
学年が違っても、学校が別れても迎えに行った。
おれ達が部活でバレーしてる間も、いないマネージャーの変わりに傍に置いた、小学校も中学校も。
高校だって、音駒に入って、一緒にバレーして、ずっと一緒だって思ってた。
けど
『クロちゃん、研磨。·····パパの転勤で、宮城県に、行くことになって·····。烏野高校っていうところに、入学·····するんだって。·····っクロちゃんと研磨とっ、これから一緒に、·····っいられないんだって·····。』
おれの部屋で、おれとクロにそう言いながらボロボロ泣いた。
横にいるクロが、を抱き上げたのを横で見ながら、おれは目の前の視界がどんどん暗くなっていくのを感じた。
体が、動かない。
ずっと一緒だと思ってた。
は、おれ達パーティのヒーラーだ。
ヒーラーがいないと、傷ついたらもうそこで冒険は終わりだよ。
気づいたら、クロの腕の中にいるを背中から抱き寄せてた。肩に顔を埋めて、情けない顔、見られないようにした。
おれ達はまだ子供だ。親の都合で離れることになっても、取り戻す術がない。今は。
でもちゃんと
「迎えに行く。おれも、クロも。」
「泣ーくな。一生会えない訳じゃない。」
うんって返事したは、別れの最後の日もボロボロ泣いてた。
「なぁ。これは俺と研磨からのプレゼント。」
クロに似合わない、ピンクのラッピングされた小さな袋。
大事そうに抱えて、は宮城に行っちゃった。
入学式後、その日のうちに電話をかけてきた。
少し聞いただけでわかる。不安そうな声。