第3章 幼なじみ
side 孤爪研磨
ちっちゃくて、ふわふわして、あったかい、おれの可愛い幼なじみの。
おれの全部は、で出来てる。
が産まれた時から、ずっと一緒。
気づいた時から、おれの後ろ、パタパタついてきてた。
どうしようもなく、可愛かった。
体が弱かった。
苦しそうで、可哀想で。
どうしたらいいか、わからなくて、見様見真似で、頭を撫でてみた。
ふにゃって笑って、可愛かった。
が喜ぶなら、なんだってする。
ずっと傍にいて欲しいなら、ずっと傍にいる。
クロとトモダチになれたのも、のおかげ。
おれも人見知りだったけど、クロはもっと酷かった。
多分、誰も信じないし、クロも忘れてるけど。
紹介されて、固まってるクロの手と、固まってるおれの手を一緒に繋いで、お友達だねって。
それからずっと、クロとおれの間にはがいた。
バレーを始めたきっかけはクロ。
続けられた理由は。
動くの嫌い。汗かくのも嫌い。疲れるのも、嫌い。
でも、クロとおれがバレーしてると、が嬉しそうに笑うから。
まぁ、おれがいないと、クロ困るし。
それもある。多分。
アップルパイが一番好きなのは、が初めて作ったケーキ
をおれにくれて、それがアップルパイだったから。
虎が、真っ黒な前髪で顔を隠すと目立つっていうから、金に染めるって言った時、染めてくれたのも。
凄い渋ってたけど。
に染めてもらってから、髪何も触ってない。
染め直すの、めんどくさいし、せっかくにやってもらったんだし。
にしてもらったこと、言い出したら終わらない。
は、いつもおれにありがとうって言うけど、本当はおれの方。沢山貰ってるのはおれの方。
がいなかったら、おれ、とっくの昔にゲームオーバーしてた。
人見知りで、コミュ障で、友達も出来ない。
いつも一人のおれの傍にいてくれた。
がイチバン大事。
別に、聞いた訳じゃないけど、クロも一緒。
のこと、イチバン大事にしてる。