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Gerbera~原作沿い長編~【ハイキュー】

第3章 幼なじみ





「もしもし」

ガサゴソと音が入った後にまた研磨の声。
そろそろ、ばいばいのじかんだよね。
寂しい。


『ね、研磨。電話、またかけてもいい?』

「ん。当たり前。出れなくても、かけ直すから、多分。」

『多分?』

「うそ、かけるよ、ちゃんと。」

『クロちゃんにも今度かけていいかな?』

「いいんじゃない?クロ、のこと大好きだし。」
「―おい!勝手に告んな!」

後ろからまたクロちゃんの声が聞こえる。


『ふふっ、ありがとう。二人とも大好き。またね』

「またね」





寂しいけれど、画面をタップ。
途端に流れる機械音。
変わらない二人に安堵する。

時計を見上げるといつの間にかお昼時。
丁度、階下にあるリビングから「ごはんよー!」と呼ぶお母さんの声が聞こえる。
返事をしてから、スマホを枕元の充電器につないだ。




東京を出てから、何となく幼なじみ二人との距離が遠くなってしまって、もう会えないような、お話出来ないような、そんな気持ちになってしまっていたけれど。
そんなことなかったよね。
優しい二人は、私を気に掛けてメッセージをくれる。
電話を掛ければ出てくれる、励ましてくれる。


物理的な距離は出来てしまったけれど、長い間築いてきた2人との時間が無くなるわけじゃないもんね。



電話、かけて良かった。


今度、お小遣いを貯めて会いにでも行ってみようか。
勿論、二人には内緒で。
いつもからかってくるクロちゃんを驚かせてやろう。

研磨も、驚いてくれるかな?




うん、何だかこちらでの生活も、大丈夫そう。




部屋を出ようとして、チラリと視界の先に入ったのは庭先のハナミズキ。何となく、窓に近寄って開けてみれば、まだ少し冷たい風邪がフワリと吹き込んだ。
よく見てみると、一輪咲いている。


何だかまた、暖かな気持ちに包まれた。













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