第3章 幼なじみ
うぅー、二人のことを考えると、やっぱり寂しい。
部活、やってるかな?
研磨にかけたら、すぐに気づいてくれるかな?
出れなくても、掛け直して、くれるかな?
心の中で少しの葛藤。
でも、やっぱり寂しさには勝てない。
アドレス帳から、研磨の番号を探して、意を決してタップ。
流れ始めた機械音は、意外にもすぐに終わりを告げた。
耳に届いたのは、直接声を聞くのとはまた違った少し高めの中低音。
「もしもし」
『け、研磨?』
「ん。入学、おめでと」
『うん。ありがとー。』
研磨だ。
何だか途端に力が抜ける。安心する。
後ろから声が聞こえる。
「あ??変われー研磨ーー!」
クロちゃんだ。
「やだよ。やめてクロ。あとで変わるから。、風邪引いてない?」
『ふふっ、うん。大丈夫。ちゃんと元気。二人がいつも通りで安心した。今日部活は?お休み?』
「うん。体育館の点検。今日は休みだって。」
『そっか。不謹慎だけど、お休みで良かった。研磨とお話できたから。嬉しい。』
「ん、おれも。心配だったから、今日かけようと思ってた、電話。」
『ほんと?ゲームに夢中になって、忘れちゃうんじゃない?』
「のことは、忘れないよ。」
研磨、ゲームより優先してくれるって。
でも確かに、私が声をかけると、すぐにポーズ画面にしてくれるもんね。
「あーもう。クロうるさい。変わるから!、クロに変わるね。」
『ふふっ、うん、わかった。』
「よーー!! !元気してたかァー?今日から女子高生!だなぁ。ちゃんの泣き虫さんは治りましたかァー?」
ガサゴソと音がした後、耳元に元気な声が響く。
声が大きいよクロちゃん。
『もー、小さい子じゃないんだから泣かないよ!』
「おぉー、上出来。って、東京出る時ピーピー泣いてたのは誰だったかなァー?」
『うっ、クロちゃんのばか。研磨に変わってよー!今の私は優しさを求めているんです。』
「ははっ、悪かったよ!元気そうで安心した。風邪引くなよー!腹出して寝るんじゃねーぞー!」
『クロちゃんこそ、枕で頭挟みすぎて窒息しないでねー!』
「するかよ!研磨ァ!」
クロちゃんのいじわる。
でも心配もしてくれる優しいヒト。