• テキストサイズ

Gerbera~原作沿い長編~【ハイキュー】

第15章 練習試合 対音駒高校戦




シューズを履いて、球技場の中に足を踏み入れるとキュキュッという音が辺りに響いた。烏野高校の体育館よりも随分と大きく見えるこの体育館では、シューズの踏み締める音も幾分も違って聞こえた。
音駒高校サイドのベンチの近くに荷物を置いて、まずはすぐにアップに入れるように研磨とクロちゃんのテーピングから始める。
その前に、といつものように2人から貰ったヘアゴムで髪を二つ結びにして気合いを入れる。

『研磨っ。』

「うん。」

背もたれの無い簡素なベンチに跨るようにして研磨と座る。
研磨にテーピングするのは、引っ越して来て以来になるから久しぶりだ。
それでも、以前にやっていた通りに研磨はすっと私の目の前に両手を出した。研磨の綺麗な細い指をキュッと握って様子を見る。

『研磨、最近テーピングしてなかった?』

「してない。のテーピング以外は、別にしなくてもいいかなって。」

『んー、少し乾燥してるよ。···今は私のハンドクリームしかないけど、塗ってからテーピングするね。大事な指なんだから、ちゃんと大切にしないと。』

「うん、ごめん。」

自分のポケットからハンドクリームを取り出す。女の子用の、ローズの香り付きだけど、これしか手元にないから仕方がない。
チューブから出して研磨の指先に塗ってからテーピングを開始する。

『ふふっ。研磨、薔薇のいい匂い。』

「なんか、たまにからする匂いと同じ匂いがする。」

『うん。ずっと使ってるクリームだから。』

「···そういえば、使ってくれてるんだね、それ。」

『····それ?』

「ほら、これだろ。」

研磨の言葉に首を傾げると、すぐ近くにいたクロちゃんが私の耳元にいる黒猫のヘアゴムにそっと触れた。

『2人がくれたヘアゴム?もちろんっ。部活の時は、いつもこうやって結んでるの。』

「へー。」

『この猫ちゃん達、研磨とクロちゃんに似てるでしょ?だから何か一緒にいるみたいで嬉しくって。』

自分で耳元の黒猫をそっと触る。
プラスチックで出来た2匹の猫が、耳元でチャリっと音を立てた。
この猫ちゃん達は私の大切なものだ、自然と頬が緩む。



「·········キュン!!」

「 ·····ってさ、昔から何か、そういうとこあるよね。」


『え?···なになに?なんのこと?』




/ 224ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp