第4章 友達
『ちょっと、何のつもり?』
「…ほんと、何がしたいんだろうね~」
『は!?』
「ちん、バスケ部が嫌いって本当?」
『…あぁ、その話ね』
ちんはさも興味がなさそうに言った。
まるでそれが、当たり前だと言わんばかりに。
『嫌いじゃなくて、大嫌いよ』
「…けど、俺もバスケ部だよ」
『知ってるわよ。キセキの世代でしょ?』
じゃあ何で。
何でちんは俺にお菓子を作って来てくれたの?
今の言い方だと、俺だけは嫌いじゃないという可能性も消えた。
『あたし、昔からお菓子作るの好きだったの。弟とかお母さんにあげると美味しいって言ってくれるのが好きだった。
けどそれが本当かは分からないでしょ?無理に美味しいって言ってくれてるのかもしれない。
他の人に食べてほしいけど、その友達もいない。その時にあなたが美味しい、また食べたいって言ってくれた。
それが嬉しかった』
ちんは恥ずかしそうに口にする。ちんは人と接する機会が少ないからなのか、とても純粋だった。
言葉に、曇りがない。