第4章 友達
俺はお菓子を取りに来たのも忘れて部活に戻った。
なんとなく気分が良くて、遅くなりすぎて追加された赤ちんの特性の5倍メニューも難なくこなしてしまった。
「黄瀬ちん」
「?どうしたんスか?紫原っちから俺に話しかけてくるなんて珍しいッスね」
「ちょっとね。
ちんの事だけど」
「っち!?」
「うん。関係ないって言ったけど、そうでもないかも~。ちん、俺にお菓子くれたし」
「紫っちにお菓子!?っち、バスケ部嫌いらしいッスよ!?」
「そうなの~?別に俺には普通だったけど…黄瀬ちんが単に嫌いなだけなんじゃない?」
「ひ、酷いッス~!!」
帰り道、黄瀬ちんにちんの事を少しだけ話した。次の日には黄瀬ちんがそれについてちんに問いただしていて、ちんはちょっと鬱陶しそうにしていた。
その時ちんに睨まれちゃったけど。
その日は話さなかった。だって約束の意はその次の日だったから。
そして翌日。
朝靴箱を開けると見た事のあるタッパーが入っていた。蓋を開けると見た事のあるクッキーと、カップケーキが1つ。
約束、覚えててくれたんだ。
俺は嬉しくなって教室まで走った。
「ちん!」
『!?』
女子「え…紫原君?」
男子「どうしたんだよ、紫原。ブス乃に話しかけるなんて珍しいじゃねぇか」
女子「そうだよ!」
「ちん、お菓子ありがとう」
ざわざわとする皆を無視してちんに話しかける。ちんはギョッとした様子だったけど、一言も言葉を発していなかった。