第4章 友達
「さん」
『んー?』
「僕は何があっても、
さんの味方です。
これだけは覚えておいてください」
閉じていた目をあけると、そこには真剣な顔のテツヤがいた。
『…うん』
テツヤなら、信じれる。
楽しい昼休みなんてすぐに終わる。テツヤと同じクラスならいいのに。
巻き込むわけにはいかないから話す事は出来ないけど、見ているだけで元気が出る。
そう言えば次、テツヤ達のクラスは外でサッカーって言ってたな。ちょうど窓際の席のあたしは、外を見る。
まだ授業が始まっていない今、バラバラになっている生徒。その中から影の薄いテツヤを見つけるのは無理かなって思ってたけど、むしろテツヤにしか目に入らなかった。
「っち」
女子「ちょ、黄瀬君!?今何て…」
「っちが何と言おうと、周りから何と言われようと、
俺はっちの事もっと知りたいッス」
ざわざわとする教室。チッ、いらない事言わないでよ。めんどくさい事は嫌いなのよ。
あたしはポケットから音楽プレイヤーを取り出し、耳にはめ込む。
「っち!!」
女子「ちょ、ちょっと黄瀬君!?どうしちゃったの?」
女子「そうだよ!さっき何か言われたの?ブス乃に弱みでも握られたんでしょ?」
女子「それなら私達でどうにか…」
「っちは関係ない。
俺が知りたいって思っただけだから」
音楽を聴いていても声は聞こえるわけで。
別に黄瀬涼太がどう思おうが関係ない。
あたしはテツヤ以外、もう誰も信じない。
だけど黄瀬涼太の言葉は、あたしの凍ってしまった心を少しだけ、溶かしてくれた気がした。