第4章 友達
「橙乃さん」
『…』
女子「ちょ、黄瀬君!?どうしたの!?」
女子「そうだよ!ブス乃なんかに話しかけるなんて!」
「…ちょっと先生から頼まれただけッスよ」
女子「なんだ、そういう事ね。びっくりしちゃった」
女子「オイ、ブス乃!黄瀬君があんたなんかのために話しかけてくれてるんだから、返事くらいしろよ!」
全く…どうして女の子っていうのは相手によって喋り方変えるんスかね。
影でやるならまだしも、男子の前で両方見せちゃって意味あるんスかね。
『…チッ、何?』
「いやぁ、ここじゃちょっと」
『…は?』
「プリントのコピー頼まれたんスわ。だから一緒に来てくださいッス」
女子「黄瀬く~ん♡ブス乃の代わりに私が行こうか~?」
「いや、先生からは橙乃さんにって頼まれてるッスから。行こう」
橙乃さんはもう一度舌打ちをすると、大人しく着いてきた。もちろん俺は、誰か着いて来ていないか確認しながら歩く。
どうやら俺が橙乃と何かあるとは思いもしなかったらしく、後をつけてくる者はいなかった。
空き教室に着き、鍵を閉める。
『…何してんの?』
「いやぁ、こうでもしなきゃ落ち着いて話も出来ないと思って」
『…帰る』
「帰さないッスよ?ここまでした意味無いじゃないッスか」
『…チッ。
今度は何の罰ゲーム?』
「違うッスよ。個人的な質問ッスわ。
昨日の夜、何してたッスか?」
橙乃さんは少しだけ指をピクリと動かした。
…ビンゴ。