第4章 はしやすめ
「やぁ」
「あ、キュウべぇ。」
宇航のアプローチにはぁ、なんてため息をついていたらどこからともなくキュウべぇがひょっこりと顔を出した。何処に行ってたの?なんて聞いたら今度はキュウべぇにため息をつかれた。
「え?______いッ!!?」
なんでため息なんか吐くの、そう聞こうとした瞬間、お腹に鋭い痛みが走った。何故?何故??おかしい。魔法少女は痛みを感じないはずなのに。痛みに耐えながら考える。__だって魔法少女はソウルジェムに魂を移してるんだから___痛いはずないでしょう?___ってあ!!!!
「そ、ぅるっ…!ジェ…!!」
「正解だよ。全く、君という人間はどうして命をやすやすと取られた挙句、その存在を蔑ろにするのか、わけがわからないよ。」
「な、蔑ろになんてして、ああ!」
またもお腹に激痛が走る。キュウべぇを見ればソウルジェムに手をぽすりと置いていた。それだけでお腹に刺さるような痛みを感じる。
「ん?」
「すみませんでした…」
分かれば宜しいと帰ってきたソウルジェムに頬ずりをする。痛みが無いのってとっても素晴らしいと文字通り痛感してしまった。
「じゃあ昨日キュウべぇが用事があるって言ったのは…」
「そうさ。の監禁場所が遠くなくて助かったよ。じゃないと君は今頃倒れて、抜け殻になっていたからね。」
「そうだね」
…さらっととんでもないこと言ったな…。
「まぁともかく、ありがとう、キュウべぇ。」
「次はないからね。」
ぷいっとそっぽを向くキュウべぇを見て、どうせまた今度私が困ったら助けてくれるんだろうなと思ってふふっと笑ってしまった。
………………
キュウべぇ、随分人間みが溢れてきたなぁ…。出会った当初は本当に悪魔みたいなやつだった。人の心が理解出来ないから当然といえば当然なのだが、それにしても限度がある。最初はキュウべぇの顔を見たくない程ムカついた時もあった。だが今はお互いが唯一無二だから、軽口を叩きつつも大事だと思っているし、キュウべぇもそうであると信じている。
__元来キュウべぇ、基インキュベーターという個体には感情という概念は必要無いものだった。