第4章 はしやすめ
「ん、んん…」
日光が顔に当たり、チュンチュンと鳥の囀りで目が覚めた。見慣れない天井と、妙な息苦しさに頭を白黒させ、ハッと気づく。そういえば昨日はあのまま寝てしまったのか…。私を抱きしめる様に寝る紅炎様を見て顔が赤くなる。
(あああああ私は紅炎様の寝台を借りてしまったのか…。従者としてあるまじき失態…。はぁ…。)
内省しつつ紅炎様のお顔をじっと眺める。普段とは違い、少しだけあどけないその顔に愛しさが込み上げる。ん?愛しさ…??
「起きたか…。」
「わぁ!?あっ、あ!はい!!おはようございます!」
「…朝から騒々しい…。」
「あっ、そうですよね、すみません。」
しゅんと項垂れるとポンと頭に置かれる手。えっと見あげようとすればそのままわしゃわしゃと撫でられた。うぅん、気持ちいけど…いたたまれない…。
逃げるように手から抜け出し、日時計を確認する。時刻は6時前、といったところだろうか。うん、いつも支度する時間より少し早い。これならゆっくりできるだろう。
「紅炎様、只今6時前でございます。少々寝られる時間がありますが、どうなさいま……すか…。」
説明しよう!寝台から起き上がった紅炎様がぽりぽりと頭を掻いていたのだが、夜着の胸元が広がって、惜しみなく紅炎様の胸筋が晒されていたのだ。うわぁ……朝から目に毒…。なんて思わず顔が赤くなる。
「ん?どうした?」
「……。」
その色気に動くことすら出来ず固まっていると、俺に見惚れたか?なんて事まで言われてしまった。勿論普段の私ならば揶揄していることは分かるのだが、まだ起ききっていない頭ではそんなことが理解できておらず更にホワイトアウト。
「なんだ、よもや図星だったか?」
紅炎様が近づいたことに気づかず、顔を覗かれてはっとした。
「えっ、いや、そんなこと…」
手を前にしてこの赤い顔を隠すようにするも捉えられてしまい、どうしようもできず、私は顔を背けた。するとフッと紅炎様の笑う声が聞こえ、恥ずかしさに拍車がかかった。
「や、ほんと、勘弁して下さい…。」
「くく、いや、すまない。愛いやつよ、」
え、と紅炎様の方を見るとこれまでに見たことない位嬉しそうな顔をしていた。いや、まぁ軽く口角が上がっているだけなのだが、