第4章 はしやすめ
「紅炎様!」
「を襲おうとしたのなら問答無用。」
「...」
ああもうどうしよう!
「紅炎様!お願いです!...はぁ、はぁ、」
冷えていた筈の体がまた熱を持って疼きだした。辛くて目に涙が溜まる。
「紅炎様...。」
それでもめげずに頼み込むと、紅炎様は溜息をついた。
「仕方がない。取り敢えずコイツは独房へ入れよう。処分はその後決めよう。」
紅炎様の懐深い慈悲により、この場は収まった。
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「どうして場所が分かったんです?」
「珍妙な生き物が俺の元に来て、が危ないと言った。」
珍妙な生き物...?はてと考えていると、肩に重みを感じた。
「キュウべぇ!」
そういえばいなかったがそういう事だったのか。
「あれ、でも紅炎様には見えないはずじゃ...」
「魔力が高ければ見ることはできるからね。基本的に僕はにしか姿を見せてないけど。」
「なるほどね、」
納得!キュウべぇのお陰で九死に一生を得たなんて。これからもっと魔女狩り頑張んなきゃな。
宮殿に着き、キュウべぇは用事があるからと何処かへ行った。私は紅炎様を部屋まで送ろうと彼に着いていった。の、だが。
「では、紅炎様、今日はもう休まれますよう...。私も少しお暇をいただっ!??」
先程みたいにまた体が疼く。いや、これは先程よりももっと重症かも知れない。
「…?どうした?」
只事じゃない私の様子に、背を向けていた紅炎様が振り返った。そして私を見た後、目を少し見開いた。
「何か、盛られたのか?」
「...おそ、らく、媚、薬...ではない、か、と...」
「...」
紅炎様は少し黙った後、私をお姫様抱っこして紅炎様の自室のベッドに優しく下ろした。
「ここで休め。」
「しかし、紅炎、様は...」
「俺はまだ仕事がある。」
「ですが...」
流石に主君の寝台で寝るなんてありえない、と言おうとしたが、紅炎様の有無を言わさぬ眼差しに静かに頷いて目を閉じた。