第1章 始まり
弾かれた私は後ろの壁に激突。
「カハッ」
血反吐を吐き、もう体も限界だった。その上、残り僅かしかない魔力をありったけ込めて使った為、血涙も流れてきた。
ああ...また、意識が.....遠のいて、
私、使えないな。
それなりに強い魔法少女だし、それなりに強い魔法使いの筈なのに、感情に任せて魔力の振り分け間違えたりとか、
馬鹿みたい。
ああ、体痛いな。
周りが白くて眩しいな。
死ぬのかな。
体がもたないだろうな。
って思ったけど私、魔法少女じゃん。
魔力の使い過ぎは本当にやばいけど、体の損傷位だったら大丈夫。
確か、前に勝った砂の魔女からグリーフシードも回収してたし、
あと、もう少し
ほんのちょっと、体が動けば.....
お願い、動いてよ、私の体でしょ?
思うように動かない体にイラつき始めた時、
目の前に炎があるような、温かさを感じた。
「んッ」
「ちょっとぉ、夏黄文、ジュダルちゃんとちゃんをちゃんと治しなさいよぉ。死んだら一大事よぉ。」
「わかっておりますよ姫君。彼は我々の大切な「神官殿」、そして彼女は第一皇子の 寵愛 を受けている「侍女」なのですからね。」
聞きなれた声が聞こえた。ああ、懐かしい人達だ.....。
「紅、玉ちゃ...ん」
「ちゃん...!?意識が...!?」
「私は、いいか、ら、ジュダルを...」
「もう喋らないで!」
あれでも、なんで私は意識を取り戻したんだろう。
「全く、キミは僕が目を離した隙に何をしているんだい?この世界では相棒と思っているかもしれないけど、こっちの身にもなっておくれよ。」
「キュウべぇ...」
重い首を動かせば、私のお腹の上に乗っていたキュウべぇ。その前足には私が手に入れたグリーフシードが。
だから、体が若干だけど軽くなっていたのか。
「うん、今回ばか、りは.....感謝、して、お...。」
そこで完全に意識は途絶えた。