第3章 山茶花と露天風呂
才蔵さんは、くすりと笑うと、わたしに手拭いを、ぽいっと渡した。
「隠せば?知らないとこ無いけど」
「なっ!!!!」
(か、からかわれてる!!!)
ただでさえ、湯船に浸かって、熱い顔が、これ以上無い程、熱くなるのが分かる。
「山茶花も雪も綺麗だね。お前さんと見ると」
才蔵さんが、ぽつりと言った。
空から、白い雪がふわふわと才蔵さんの銀色の髪の上に舞落ちては、消えてゆく。
儚く消えてゆく雪を見つめる才蔵さん。
そして、いつ何処で儚く散るか分からない伊賀の忍の才蔵さん。
「才蔵さん!約束してくれませんか?」
「何を?」
「また、みんなで、この温泉に来る事です」
「いつまで経っても、可愛い人だね、ほんと」
才蔵は、そう言って、がみえなくなったのを、確認すると
自分も湯船から上がったのだった。