第3章 山茶花と露天風呂
「気持ちいいな、、、、、」
最初は、熱く感じたお湯に慣れてくると、少し熱いお湯の温度が、疲れた身体をほぐしてゆくようで、なんとも、心地よい。
わたしは、湯船に浸かって、もわもわと立ち上る白い湯気の向こうに露天風呂がある事に気付いた。
(雪の中で、露天風呂に入るのも、温泉ならではだよね)
そう思った、わたしは、湯船を出て、ひらひらと雪の舞う露天風呂へ向かって、歩いていった。
露天風呂の周りには、山茶花の木の垣根があって、雪の中で咲く山茶花の花が、風情があって美しい。
「わぁ、ここから、雪の中の山茶花を見ながらの温泉なんて素敵だな」
そう思って湯船に一歩踏み出したわたしは、ぬるぬるした石に滑ってしまった!
しまった!!落ちる!!!!
っと思った時だった!
!!!!
さっと、誰かの腕がお腹に回され、寸での所で、湯船に落ちずに済んだ。
「一人で、温泉にも入れないの?」
後ろから、耳元で囁かれる。
こ、この声は!!!
わたしの頬が、カッとなり、真っ赤に染まっていく事が 自分でも良く分かる。
「さ、才蔵さん!!!ここ女湯ですよ!!!」
「何言ってるのさ。ここ混浴って知らなかった訳?」
えっ!!!
「こ 混浴!!!」
「そ、混浴」
才蔵さんは、そう言うと、わたしを 岩の上にぽんと立たせたまま、
さっさと 自分だけ 湯船に浸かった。
「いいお湯だねぇ」
「で、お前さんは、そっから ずっと 温泉の見学でもするつもり?」
「さっ、、、才蔵さん!」